ねこやがつっつく中医学

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2025年06月25日

【中医学を読み解く】唯物観(2)精・気

生命エネルギーの基本単位を探る 前回の「唯物観(1)」では、中医学における世界と生命の関係性、特に環境からの影響について考察しました。 今回はその続編として、体内における唯物観に注目し、「精」「気」というエネルギー概念を読み解いていきます。 (予告していた「形」と「神」については、次回に扱います) 中医学を読む際の前提 まず最初に、中医学を読む際の大前提をお伝えします。 中医学は観察と統計に基づく体系です。 現代西洋医学で未証明な事柄も多いのですが、共通性の高さから「存在する」とされてきた現象も多数あります。 「ありえない」と否定する前に、「統計的に観測されたもの」として受け取ってください。 「精」——生命の根本となる物質 中医学における「精(せい)」とは、生命の本質を表すエネルギー単位です。 これはしばしば「精気」とも呼ばれ、以下の2種類に分類されます: 先天の精:親から受け継がれる遺伝的な要素 後天の精:飲食物から吸収され、体内で生成される栄養 この考えを現代の知識と照らし合わせると、 先天の精=遺伝情報や細胞そのもの 後天の精=細胞を養う体液中の栄養素 と捉えることができます。 すなわち、「精」とは栄養によって維持される人体そのものであり、まさに生命そのものの本質といえるのです。 「気」——変化と移動を繰り返すエネルギー 「気(き)」は、生命活動を支える基礎エネルギーとされています。 その主な役割は、「気化(きか)」と呼ばれるエネルギーの発生や変換を通して、体内のさまざまな機能を維持することにあります。 この「気化」は、次の2つに大別されます: ① 気の運動形式:「出・入・昇・降」 「気」は常に出る・入る・上がる・下がるという運動をしています。 これは陰陽のバランスに基づいた、器官間でのエネルギー移動のことです。 特に五臓の間における気の流れは、生命維持に不可欠とされます。 (※「臓」はひとつの器官ではなく、複数の構造や機能が包まれたエネルギー集合体と考えられています) ② 転化:エネルギーの質的変換 「転化」とは、気・血・津液(しんえき)などへのエネルギー変換プロセスを指します。 たとえば、 食べ物が水穀(栄養)として吸収され、「精気」へと転化する 精気が「気」「血」「津液」として全身に巡る 陰気⇄陽気の変換もまた「転化」のひとつ 成分分析技術がない時代に、ここまで体内変化を観察で把握していたことに驚きを禁じ得ません。 まさに経験の積み重ねによって磨かれた直観的科学といえます。 次回予告 次回は、「形(けい)」と「神(しん)」という2つのエネルギー概念について解説します。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。     ほぐし処 ねこや 住所 〒277-0042 千葉県柏市逆井4丁目24-36 アクセス 逆井駅より徒歩9分 電話番号 04-7113-4346 (10:00~21:00) 営業時間 11:00~21:00 (完全予約制) 定休日 水・木曜日(祝日は営業) 当店facebookはこちら↓ http://bit.ly/1TqmW8d

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2025年06月14日

[Understanding Traditional Chinese Medicine] Materialism (1): The Energy Flow Model of the Universe and Life

One of the core philosophical foundations of Traditional Chinese Medicine (TCM) is the concept of materialism (唯物観 / wù wù guān). In the context of TCM, materialism refers to a worldview that sees both the universe and human beings as interlinked through the continuous movement of energy. However, the interpretation of this concept varies across…

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2025年06月13日

【中医学を読み解く】唯物観(1)世界と生命のエネルギーモデル

中医学の根幹思想の一つに、「唯物観(ゆいぶつかん)」という概念があります。 中医学における唯物観とは、世界と人間の関係をエネルギーの流動としてとらえる視点です。 しかしながら、この概念は文献ごとに記述内容が異なるため、非常に理解しづらく、初学者には戸惑う要素となっています。 筆者自身も、完全に読み解けたとは言いがたいのですが、現時点での理解を整理してみたいと思います。 なぜ「生命」ではなく「世界」の話から始まるのか? 中医学では次のような考え方が示されています。 「世界は物質で構成されており、生命は陰陽の相互作用によって生じたもの。天地は生命を発生させる母体であり、天は陽、地は陰である。」 一見すると神話のような表現ですが、これは「陰陽」に関するエネルギー流動モデルを表したものです。 陰陽とは、対立する二つの要素の間にエネルギーが流れることを前提とする考え方。 つまり、天地の関係もまた、エネルギーの性質と流れ方に基づいて説明されます。 天は軽快に動き、外部に影響を与えやすい「陽」 地はゆっくりと動き、凝縮・安定している「陰」 この天地のエネルギー的相互作用の中で生命が誕生する、というのが中医学の生命観です。 自然界の「六気」と病気を引き起こす「六淫」 中医学では、病気の原因の一部は自然環境にあるとされています。 具体的には、「六気(風・寒・湿・熱・暑・燥)」と呼ばれる自然の気候的要素が、人体に悪影響を与えたとき、それが「六淫(風邪・寒邪・湿邪・熱邪・暑邪・燥邪)」となって病因となる、という考え方です。 この理論は、現代医学における「環境と健康(公衆衛生学)」の視点とも一致しています。 六気が人体に与える影響と「天人合一説」 六気にはそれぞれに明確な性質があります。たとえば: 風気の特徴:揺れ、動き → めまいやけいれんといった症状を引き起こす 湿気の特徴:重だるさ、停滞感 → むくみや関節のこわばりとして表れる これらの自然界のエネルギーが人体に影響し、同様の特徴を持つ症状が現れるという見方が、「天人合一説」です。 つまり、「人体と自然は切り離せないエネルギー的存在である」とするのが中医学の唯物観の基本原理です。 次回予告:人体の唯物観 ― 精・気・形・神 今回は、中医学における「世界と生命のエネルギー的関係」に焦点を当てました。 次回は、人体そのものを構成する「精・気・形・神」といった概念について、唯物観の視点から読み解いていきます。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 おつかれさまでした。     ほぐし処 ねこや 住所 〒277-0042 千葉県柏市逆井4丁目24-36 アクセス 逆井駅より徒歩9分 電話番号 04-7113-4346 (10:00~21:00) 営業時間 11:00~21:00 (完全予約制) 定休日 水・木曜日(祝日は営業) 当店facebookはこちら↓ http://bit.ly/1TqmW8d

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2025年06月10日

Western and Chinese Medicine: How Do They Differ in Approaching the Body?

“Western medicine and Chinese medicine—aren’t they both just forms of medicine? So why haven’t they been integrated?” This was a question I had long pondered. But after studying both, the answer became clear: They differ fundamentally in how they approach the body. A Fundamental Difference in Medical Approach Western medicine seeks to identify and directly…

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2025年06月09日

西洋医学と中医学、身体へのアプローチの違い

「西洋医学と中医学、どちらも“医学”なのに、なぜ統合されないのだろう?」 これは私が長年感じていた疑問でした。しかし、実際に両方を学んでみると、その理由がはっきりと見えてきました。それは、身体へのアプローチ方法が根本的に異なるからです。 アプローチの根本的な違い 西洋医学は、症状の直接的な原因を探し、治療することを目的とします。たとえば、「症候群」と呼ばれる原因不明の症状に対しても、表面に出ている困った症状を止めることを優先します。 一方、中医学(伝統中国医学)は、症状だけに注目するのではなく、全身に現れている複数のサイン(指標)をもとに、バランスの乱れを見つけ出し、全体を整える治療を行います。 医学としての構造の違い 西洋医学の基本は、解剖学・細胞学・生化学など、身体をミクロに分解して理解することにあります。臓器や組織の機能を個別に修復する方法論です。しかし、その局所性ゆえに、治療の副作用や整合性の問題が起こることもあります。 それに対して、中医学は、身体を大まかな機能単位(五臓六腑など)で捉え、「気」や「血」などのエネルギーの流れとバランスに注目します。そのため、一見関係なさそうな部位を調整することもありますし、「毒をもって毒を制す」といった戦略も使います。 なぜ統合が難しいのか? たとえば、中医学における「解剖学」は、五感を駆使した観察の積み重ねから生まれたもので、外からの触感と、臓器が自然崩壊した後の観察によって体系化されています。これを西洋医学の論理で説明するのは困難です。 また、西洋医学は、高精度な観察機器によるデータに基づいた科学体系であり、中医学が生まれた時代背景とはまったく異なります。この違いが、両者の「統合」を難しくしているのです。 それでも、歩み寄る道はある 互いの方法論をそのまま取り入れることはできないかもしれません。しかし、「相手を否定しない」前提に立つことで、共通点や変換可能な部分が見えてきます。 西洋医学の立場から、中医学の手法を実践し、そこで感じたことを測定データと照合してみる。 中医学の立場から、自らの経験則を西洋医学的な測定法で表現し、エネルギーの流れを解析してみる。 このように、互いの視点を理解しようとするプロセスこそが、統合の鍵になるのかもしれません。 次回は、中医学の基本概念「唯物観」についてご紹介します(※西洋哲学の「唯物論」とは異なります)。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。